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平成21年度の取り組み

1.「共通技術」の開発・改良と検証

 平成20年度は、「共通技術」として、開発実証事業から新規の「サービス共通技術」※1を抽出・選定するとともに、平成19年度に抽出・選定された「サービス共通技術」の改良、および「基盤共通技術」※2の改良を行いました。これまでに開発した「共通技術」は、56技術となり、うち、特許出願20件、「共通技術」の商用化実績は100件を超えています。
 今年度はプロジェクト最終年度として、「共通技術」を広く利活用し、新しい産業創造に直結することを目指し、汎用性・共通性を高めることに注力した「共通技術」の改良、および実サービスへの適用性の検証を行います。その中でも「パーソナル情報保護・解析基盤」の改良・検証に重点的に取り組みます。当該「共通技術」は、個人を特定できない状態でプロファイル情報を統合管理する技術であり、多くのサービスの基盤として、パーソナル情報(個人と連結可能な情報)を活用した新しい産業を創造することが期待されます。

※1:本プロジェクトの開発実証事業のために開発された技術の中から抽出され、サービスに直結した実用技術であって、
   汎用性、共通性が高く、次世代検索・解析技術として抽出・共通化されるべき技術
※2:本プロジェクトの目的に照らし、将来の社会生活基盤において必要な技術

<共通技術の全体像>

共通技術の全体像
2.コラボレーションプラットフォーム(Collaboration Platform)の運用と改良

 平成19年度、20年度に開発・改良された「共通技術」や実証用データ、映像コンテンツを整備し、共有する環境として「コラボレーションプラットフォーム(CP: Collaboration Platform)」を運用するとともに、コラボレーションプラットフォームを活用した「共通技術」のサービス利活用のための検証を行っています。平成20年度は、「共通技術を活用したコラボレーションとして、画像・映像解析技術(共通技術)とインターネットショッピングモールとのコラボレーションなど、コラボレーション事例を複数創出しました。
 今年度は「共通技術」の公開技術情報を利用者視点で評価し、分かり易い内容に改善するなど、より幅広い企業・団体・大学等による「共通技術」の活用促進を図ります。また「共通技術」活用の新しい枠組みとしてプラットフォーム化を目指した検討も進めていきます。

3.国際標準化及び市場動向に関する調査研究

 国際的競争力強化を図るため、「共通技術」等の国際展開を継続的に推進します。平成20年度は、「共通技術」の一つであるPI(Place Identifier)基盤※3がISOの標準化プロジェクトとして取り上げられました。
 また、同じく「共通技術」である個人情報匿名化基盤※4に関しては、デファクト、デジュールの双方から国際標準化活動を展開し、ISO/TC211や204の会議で紹介を行いました。さらに、個人情報匿名化基盤という技術面だけではなく、個人情報に係る新たな制度的枠組も含めて、APECやOECD等との意見交換を進めました。
 これらの活動を通じて、「共通技術」の国際展開・連携の可能性を探るとともに、特に個人情報に関する技術や制度については推進計画をとりまとめました。

<平成20年度に策定した推進計画(概要)>

平成20年度に策定した推進計画
 今年度は、平成20年度に策定した推進計画に基づき、技術面ではISOへの個人情報匿名化基盤のNew work item Proposalの提出など、国際標準化の取組を更に進めるとともに、Chorus、Pharos、Theseus等の欧州の研究開発プロジェクトとの情報交換・連携を推進します。制度面では、OECDのプライバシー・ダイアログ・プログラムへのガイドライン等の提案を行い、国際標準化の取組を推進します。それらの活動を通じて、本事業完了後の展開も見据え推進計画の改訂を行います。
 また、それら技術や制度の国際展開・連携可能性による効果を検討するため、国際展開や制度改正等により創出される新市場等の可能性についても調査を行います。

※3:様々な"同じ場所"に関する情報を統合する仕組みと、異なる地図システム間で発生する位置のズレを補正する仕組みに
   よって、場所に紐付くコンテンツを、ユーザにより「簡単に」「正確に」提供することを可能とする技術
※4:サービス時に利用者から提供された各種個人情報が、利活用目的に応じた適切な匿名化処理が行われたことを
   保証した上(安全性を担保した上)で、汎用的に利用できる技術

4.制度的課題に関する調査研究

 平成20年度は、個人情報保護制度に関するこれまでの検討を踏まえ、パーソナル情報(個人と連結可能な情報)を活用した次世代サービスの発展に資する指針(ガイドライン等)の骨子案等をとりまとめるとともに、匿名化した情報の組織横断的な活用等、新たな制度的な枠組みの検討を行いました。

<パーソナル情報の活用に関するガイドライン骨子案(目次)>

パーソナル情報の活用に関するガイドライン骨子案  また、著作権や不正競争防止等については、サービスを展開する上での法制度的な課題とその解決の方向性を検討しとりまとめました。

<サービス展開上の法制度的な課題とその解決の方向性>

着眼点 制度課題 解決の方向
知的情報の積極的利用促進の検討 研究開発目的の情報利用促進 研究開発における複製権の権利制限の実施
Web上のコンテンツの利用に関し、無許諾利用制度の制定
Web情報・暗黙知の保護 不正競争防止法の改正などによる創作性のないデータベースの保護
イノベーションに向けた技術情報の共有化を実現する環境整備 技術情報共有化のための環境整備 コンソーシアム情報管理特別法の制定
コンソーシアム又は企業などの連携の問題に関する紛争解決機関の設置
情報の収集、提供の促進のインフラ整備としてのアーカイブ化 Web情報のアーカイブ Web情報のアーカイブの事業化
日本版アーカイブに特化した特別法の制定
営業秘密(情報利用と不正競争防止法) 特許や著作権で保護されないようなノウハウ、データの保護 契約により対処可能であり、制度的対応は不要

 特に、著作権に関しては、本プロジェクト開始以前の平成18年度より法改正に向けて継続的に働きかけており、その結果、検索サービス事業が可能となる著作権法の一部を改正する法律が平成21年6月12日に成立し、平成22年1月1日から施行されることになりました。
 今年度は、パーソナル情報の活用に関するガイドライン骨子案を元に、ガイドラインの整備を行います。なお、その整備にあたっては、事業者の意見を踏まえつつ、国際的な展開も視野に入れてとりまとめを行います。
 また、著作権法に関しては、法改正を踏まえて、次世代サービスの可能性を調査するとともに、法改正後の展開も見据えた新たな制度的課題の有無等について昨年度の成果を踏まえつつ検討を行い、事業者向け指針の作成と更なる提言事項の取りまとめを行います。

5.知的財産権の在り方と「共通技術」の普及についての調査研究

 平成20年度は、「共通技術」の普及促進の観点から技術を活用したコラボレーション促進のためのツール群(「秘密保持に関する合意書」など)を策定し、「知財バンク(仮称)」として有するべき支援機能をとりまとめました。
 今年度は、それらの成果を踏まえ、その中でも即効性の高い範囲を選定し、コラボレーション促進のためのツール群について検証を行います。

<コラボレーションを支援するツールと機能>

コラボレーションを支援するツールと機能

6.先端事業による実証

 実証事業では、平成20年度までの成果を活かし、パーソナル情報を活用したサービス分野、高齢化社会に対応した健康サービス分野、地域情報等を活用した安全・安心な社会対応サービス分野にて、大量のデータを活用した業界横断的なオープンプラットフォームの構築を前提とした実証を行うとともに、国際展開を視野に入れた実証を行います。
 今年度の各開発実証企業の取組については、「先端事業による実証」をご参照下さい。